1990年代、映画スタジオは大作の宣伝にTシャツを作った。店で買えるほうのTシャツではない。プレス向けの取材会で配られ、試写会で手渡され、ビデオ店やシアターチェーン向けの販促キットに同梱されるほうだ。これらのシャツは、たまたま着られるマーケティング資材だった。その大半は一年以内に、誰かのクローゼットの奥かGoodwillの棚へ落ち着いた。
90年代のスリラーの隆盛——Se7en、Silence of the Lambs、The Usual Suspects、Heat、Pulp Fiction——は、この種のプロモTシャツに固有の視覚言語を生んだ。暗い色の生地(たいていは黒)、映画からのキーイメージを一点(たいていは顔かシンボル)、そして最小限の文字。デザインの思想はこうだ。このシャツは、誰かに「それ、何の?」と訊かせるものでなければならない。マーケティング部門が一枚の服に望むのは、まさにそれである。
Se7enは1995年のスリラーのなかでも、とりわけ手厚く宣伝された一本だった。New Line Cinemaは自分たちがヒットを抱えていることを分かっていた——Fincherの演出、PittとFreemanの演技、そして本当に衝撃的な結末。その組み合わせが、人が話題にする映画を彼らに与えた。話題になることだけは、マーケティングには作れない。
この種のプロモTシャツが大量に作られなかったのは、売り物ではなかったからだ。配られたのである——プレスへ、興行主へ、そしてもう同じかたちでは存在しない販促のネットワークへ。ストリーミングが劇場の生態系を殺したとき、この特定のモノも一緒に殺した。Netflixの配信開始のためにプロモTシャツを作る者はいない。フォーマットは、それを生んだインフラとともに死んだ。
この一枚は生き延びた。コンディションはビンテージ。あるのは一枚だけ。
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ヘッダー画像:写真 Egor Gordeev、Unsplash より



