ツインザーとは何か

ツインザーは、Wil Jobsonが1980年代後半に生んだデザインだ。小さなフィン(カナード)二本が、大きめのリアフィン二本の前方かつ外側に付く、四本仕立てのフィンセットアップ。クアッドではないし、トレーラーを足したツインでもない。ジオメトリーが根本から別物で、カナードはメインフィンの前に置かれる。後ろではないのだ。

名前の由来は航空の世界だ。カナードとは戦闘機の前方に付く小さな翼のこと——Eurofighter Typhoon、Gripen、そしてBurt Rutanの設計群がそうだ。航空機では、カナードがメインウイングに当たる気流をあらかじめ整え、より深い迎え角でも効率よく働けるようにする。Jobsonは同じ原理を水へ持ち込んだ。

そして、それは機能した。Martin Potterは1988年にJobsonの最初期のツインザーの一本に乗り、自分のシェイパーであるGlenn Minamiにそれをクイバーへ組み込んでもらって、1989年にはツアー6勝でワールドタイトルを獲っている。ただの豆知識ではない。1981年にSimon Andersonのスラスターが天下を取って以来、スラスター以外のフィンセットアップがワールドタイトルを獲った唯一の例なのだ。Potterのボードには、三本フィン以外のデザインからは誰も予想しなかった走りとホールドがあった。それでもサーフィン界はほとんど肩をすくめ、スラスターへ戻っていった。惜しい話だ。ツインザーが解いているのは、スラスターが生み出す現実の問題なのだから。

カナードは実際どう働くか

フィンのマーケティングは大抵、カナードを「スピードが付く」「テールがルースになる」と説明する。間違いではないが、役に立つ説明でもない。流体力学的に実際起きていることはこうだ。

圧力のリダイレクト

カナードは、フォイルの上を水が流れることで揚力(横方向の力)を生む。向きを変えられたその水は、メインフィンのフォイル面——低圧側の、力を生み出す面——へ、より有利な角度で当たる。メインフィンは、生の水流を一から捌く仕事を全部背負う代わりに、あらかじめ整えられた流れを受け取れるわけだ。メインフィンにとってのターボチャージャーだと考えればいい。流れの向きを変えるためのエネルギーは、カナードがすでに一部払ってくれている。

アンチベンチレーション

ベンチレーションとは、水面からフィン表面に沿って空気が吸い込まれ、境界層が破れてフィンが突然グリップを失う現象だ。水中で起きる失速と言っていい。カナードは前方のやや外側に座り、メインフィンの付け根に、空気の侵入へ抵抗する圧力ゾーンを作る。ツインフィンならテールが抜けるセクションでツインザーが持ちこたえるのはこのためで、カナードはアンチベンチレーションのフェンスとして働いているのだ。

実効アスペクト比の向上

いちばん分かりにくく、そしていちばん重要な効果がこれだ。カナードの後流が、メインフィンの実効スパンを仮想的に延長する。航空の世界で言う「エンドプレート効果」で、カナードの圧力場のおかげで、メインフィンは物理的な寸法が示すより高いアスペクト比を持つかのように振る舞う。アスペクト比が高いほど、抗力あたりの揚力は大きい。ツインザーが速く感じられる理由はここにある。メインフィンが、単体のときより少ない抵抗で多くのドライブを生んでいるのだ。

失速までの迎え角が深くなる

三つの効果が合わさって、メインフィンは失速するまで、より深い迎え角で働けるようになる。平たく言えば、フィンが抜けるまでに、ボードをより強くターンへ押し込めるということだ。スラスターはこれをセンターフィンで実現する(そのぶん抗力が増える)。ツインザーはカナードで実現する(小さく、前方に付くぶん、増える抗力は少ない)。トレードオフはある。スラスターのセンターフィンがよりリニアで予測しやすいホールドカーブをくれるのに対し、ツインザーのホールドカーブは抜ける点が鋭い——ホールドして、ホールドして、ホールドして、そこから一気にリリースする。

このあたりは、シェイパーの間でもまだ多少議論がある。圧力のリダイレクトとアンチベンチレーションの効果はよく理解されていて、測定もできる。アスペクト比の話は、乱流と気泡だらけの実際の波の中では切り分けが難しい。ただ、実用上の結論ははっきりしている。ツインザーはツインよりホールドし、スラスターより速く感じるのだ。

カナードのカント角

カントとは、ボードのボトムに対するフィンの角度を垂直から測ったものだ。カント0°のフィンは、ボトムに対して完全に垂直。カントが増えるほど、フィンはレール側へ外に倒れていく。

ツインザーでは、カナードのカントはたいていメインフィンより深い。この差分が肝で、カナードを立てすぎると、ボードの乗り味は硬くなり、レールに倒し込みにくくなる。

カナードとプラグの角度

カナードの角度は、二つの数字の足し算だ。プラグの角度と、フィンの角度。9°のカナードをストレートなプラグに挿せば9°。同じフィンを9°傾いたプラグに挿せば18°になる。

FCSでは、角度はプラグが持っている。FCSのフィンのほとんどはそれ自体に角度を持たないが、ここで扱うカナードは持っている。オリジナルの丸いFCSプラグ用のシングルタブのフィンで、0°、4°、9°の三種類があり、その角度がプラグの角度に足される。丸いプラグの場合、角度はシェイパーがプラグをどれだけ傾けて埋めたかで決まる。穴はまっすぐ下に開け、プラグをレジンに据え、硬化するまでジグで狙いの角度に保ち、最後に上面を面一に削る。プラグを大きく傾けるほど、ネジのまわりに残るプラスチックは少なくなる。カナードのプラグを10°で埋めたあるビルダーは、場所によってはほんの薄皮しか残らなかったと報告している。FCS IIのプラグは、角度が成形の段階で組み込まれている(0°、3°、5°、9°)。

Futuresでは、角度は基本的にフィンの側にある。Futuresのフィンボックスは基本的にカントを持たないので、Futuresのフィンに書かれた数字が、ほぼそのまま付く角度になる。Vボトムやコンケーブのボトムでは、一、二度ずれることもある。Mandala v.2、TA Twinzer、FurrowのFutures版のセットは一種類のみ——9°のカナードに6〜6.5°のツインだ。

FCSのカナードが0°、4°、9°の三種類ある理由。これらのセットのいくつかは、シェイパーが自分のボードに合わせて描いたものだ。RDMはDerrick DisneyのMidzr、Roe、Eggのために、ValaricはJordan BrazieのValaricモデルのために。三つの角度があるから、プラグの角度がボードごとに違っても、同じテンプレートが使える。0°のカナードは、もともと傾いているプラグのためのもので、ストレートなプラグに挿せば垂直に立つ。Lovelace FM Twinzerは一種類のみ。Ryan LovelaceのFMボードのために作られている。

正解のトータルはシェイパー次第。FCSの定番の組み合わせも、Futuresの9°カナードも、行き着くのは9〜10°。Derrick DisneyはRDMとDSTで13°を狙う。14〜18°まで振るビルダーもいる。ほとんどの場合、カナードは後ろのツインより外へ倒れているが、二つをほぼ同じ角度で走らせるビルダーも少数いる。

中古のボード用に買うなら。シェイパーに聞けるなら、聞くのが一番だ。プラグを埋めたのは彼らで、角度も分かっている。聞けないなら、測る方法が一つある。これはうちの店のやり方で、どの面を基準に測るかはビルダーによって意見が分かれるから、Vボトムやコンケーブのボトムでは一、二度の誤差は見込んでおいてほしい。

  1. ボードをボトムを上にして置き、レールからレールまで水平を取る。ボトムを横切るように置いたスマホが0°を示せばいい。
  2. カナードをプラグに挿す。スマホを長辺で立ててカナードの内側の面(フラットな側)に当て、垂直からどれだけ傾いているかを読む。
  3. フィン自体の角度を引く。0°のカナードなら、プラグの角度をそのまま読める。

この表はうちの店の目安で、メーカーのスペックではない。メーカーが公表している組み合わせ(0°のプラグに9°のフィン、6°のプラグに4°のフィン、9°のプラグに0°のフィン)から、うちが導いた考え方だ。読んだ数字は、いちばん近い一度単位に丸めること。

プラグの実測 買うべきは トータル
0〜4° 9°カナード 9〜13°
5〜8° 4°カナード 9〜12°
約9° 0°カナード(13°にするなら4°) 9°(13°)
10°以上 0°カナード 10°以上

この裏にあるルールは、うちが決めたものだ。9°以上に届く、いちばん小さいカナードを選ぶ。メーカーが公表している組み合わせが、どれも9°以上に収まるからだ。Disneyのセットなら、代わりに13°を狙う。4°のプラグに9°のカナード、または9°のプラグに4°のカナード。フィンは4〜5°刻みで、スマホの読み取りも一度かそこらの精度しかないから、表はあくまで出発点として使ってほしい。あるいはボードを4051 Judah Streetの店に持ってきてもらえれば、プラグはうちで確認する。

いじってみたいなら。一段階ごとに、カナードは4〜5°動く。

  • カントを減らすと、ボードは硬くなり、レールに倒し込みにくくなる。垂直に立ったカナードはその硬さの極みで、カント不足はよくある失敗だ。
  • カントを増やすと、ボードはレールに倒し込みやすくなる。それをルースになる、リリースが増すと言うビルダーもいれば、食いつきが増すと言うビルダーもいる。
  • あるビルダーのテスト。初めてツインザーを作ったあるビルダーが、同じ5'5"のフィッシュを10°、14°、18°で乗り比べた。10°では、同じボードをキールで乗っているような感触——ターンは丸く、キレは少ない。18°ではカナードがレールより外へ張り出しすぎて、パンプしたときに引っかかった。ただ、引っかかっていたのはレールではなくフィンだったのでは、と本人も首をひねっていた。彼にとっての正解は14°で、小さなチョップの日なら18°のほうが好きかもしれない、とも言っていた。
  • 全員が同意しているわけではない。14〜18°をあえて選ぶビルダーもいる。少なくとも一人のツインザービルダーは、カナードの角度の違いをまったく感じられず、ツインのカントのほうが大事だと言っている。

うちの店の目安で、スペックではない。ボードが硬いと感じたら一段階上の角度を、パンプしたときにカナードがレールに引っかかるなら一段階下の角度を試してほしい。

カナードのサイズがものを言う

セットアップのキャラクターを決めるのは、カナードの面積とメインフィンの面積の比率だ。細かなチューニング変数ではない——ツインザーの乗り味を左右する、単独では最大の要因だ。

小さめのカナード(5.5〜6.0 in²)

小さめのカナードは、圧力のリダイレクトもアンチベンチレーション効果も控えめだ。セットアップはピュアなツインに近づく。よりルースで、ピボットが増え、ボトムターンを通すドライブは減る。Pavelツインザーのカナードは5.97 in²で、True Amesのラインナップでは最小。ツインの感触が好きで、ただサイズのある波でもう少しだけホールドが欲しい——そういう人には、小さめのカナードが正解だ。

大きめのカナード(7.5〜8.0 in²)

大きめのカナードは、より多くの仕事をする。流れのリダイレクトも、アンチベンチレーションも、ドライブも増える。感触はより地に足が着き、センターフィンの抗力なしにスラスターのホールド特性へ近づいていく。基準になるのは、スタンダードなTA Twinzerのカナード、7.77 in²だ。

オーバーラップという問題

カナードがメインフィンに対して大きすぎるか、横方向のオーバーラップが深すぎる位置にあると、カナードの後流がメインフィンのリーディングエッジに干渉することがある。きれいに整えた流れを送り込む代わりに、乱れた後流をメインフィンへ直接ぶつけてしまうのだ。結果は断続的な失速で、ボードの挙動は一貫せず、グリップしたかと思えば予測不能に抜ける。ツインザーがスピードに乗ると「神経質」に感じるなら、まず疑うべきはカナードとメインのオーバーラップだ。量産のツインザーボックスは大抵ここを正しく作ってあるが、配置を自分で試すなら知っておいて損はない。

True Amesのツインザーラインナップ

量産の世界でツインザーを生かし続けている主要メーカーが、True Amesだ。各テンプレートを、実測値と、誰に向くかの正直な見立てとあわせて並べていく。

TA Twinzer

カナード: 7.77 in² | リアフィン: 19.32 in²

スタンダードにして基準。True Amesが自社で設計したツインザーだ。7.77 in²のカナードはラインナップ最大(Lovelaceと並ぶ)で、19.32 in²のリアフィンはこの中で一番のホールドを出す。パフォーマンスショートボードで頭オーバーからの波に乗っていて、ツインザーから目一杯のドライブとホールドを引き出したいなら、このセットだ。同時に、一番「ツインらしくない」選択肢でもある。据わりが良く、方向性が強く、スラスターの安定カーブに近い感触になる。ルースさが欲しい人向けではない。

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Mandala(Manny Caro)

カナード: 6.07 in² | リアフィン: 16.79 in²

Manny Caroは、このテンプレートを黄金比のプロポーションを軸に設計した。カナードとリアフィンの面積比はおよそ1:2.77で、黄金比の逆数に近い。それが意味のある流体力学なのか、それとも美学の哲学なのかは議論の余地があるにせよ、結果は雄弁だ。Mandalaは、このラインナップでもっともバランスの取れたツインザーに仕上がっている。6.07 in²のカナードは軽快さを殺さない小ささで、16.79 in²のリアフィンがほどよいホールドを足す。ツインフィンのルースさとツインザーのホールド、その両取りを狙うサーファーのためのツインザーだ。腰から頭サイズの波なら、フィッシュやレトロシェイプで見事にはまる。

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Pavel

カナード: 5.97 in² | リアフィン: 17.82 in²

Pavelのカナードは5.97 in²とラインナップ最小で、これに中間サイズ17.82 in²のリアフィンを合わせる。ピボットは一番多く、カナードの影響は一番薄い——言ってみれば、補助輪の付いたツインフィンにいちばん近い存在だ。仕事の大半はリアフィンがこなし、カナードは、クリティカルなセクションでテールが流されないだけの圧力フィードとアンチベンチレーションを足すにとどまる。ツインフィンに骨を埋めると決めたライダーが、性格は変えずに保険だけ欲しいとき、そのためのツインザーだ。ダウン・ザ・ラインで走らせるフィッシュや、テール幅のあるレトロボードで抜群にいい。

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Lovelace

カナード: 7.75 in² | リアフィン: 18.85 in²

Lovelaceは、Richard Kenvinと、フィンデザインのHydrodynamica派に捧げたトリビュートだ。カナード面積(7.75 in²)はTA Twinzerとほぼ同じだが、リアフィンは18.85 in²とわずかに小さい(19.32に対して)。結果として、カナードの効きはTAと同じまま、トップでのリリースがわずかに軽いセットアップになる。違いは微妙——リアフィンの面積にして0.47 in²の差でしかない——が、どちらかに乗り慣れていれば分かる程度には出る。ツインザーのホールドに、テールの自由をもう少し足したいパフォーマンスショートボードに手堅い選択だ。

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Lovelace FM(ミッドレングス用)

カナード: 3.70 in² | リアフィン: 22.46 in²

これは異端児で、だからこそ面白い。Lovelace FMは、ミッドレングス(7'0"以上)のために設計され、アプローチも型破りだ。3.70 in²という極小のカナードを、22.46 in²の大きなリアフィンと組ませる。カナードとリアの比率(1:6.07)は、他のどのツインザーテンプレートとも根本から違う。ミッドレングスでは、カナードに重労働をさせる必要がない。ボードの長さとボリュームが、ホールドをもとから備えているからだ。必要なのは、大きめのリアフィンが、長く引き伸ばされたターンの間も効率よく働き続けるように、流れを少し整えてやること。FMの小さなカナードは、まさにそれを届けてくれる。リアフィンの位置とサイズも、ミッドレングス特有のトリムラインに合わせてある。7'0"以上のツインフィン・ミッドレングスに乗っているなら、あなたのボードを念頭に設計されたツインザーテンプレートは、おそらくこれだけだ。

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選び方

分析疲れになる必要はない。ボードをテンプレートに引き合わせよう。

フィッシュ、レトロツイン

ツインの感触はもう気に入っている。キャラクターは失わず、ホールドを少し足したい。バランス良くまとめたいならMandala、ピュアなツインの感触に限界まで寄せたいならPavelだ。カナードはトータルで9〜10°に。ストレートなプラグなら9°のフィン、6°のプラグなら4°、9°のプラグなら0°だ。

パフォーマンスショートボード

スラスターから乗り換えて、ホールドを犠牲にせずスピードを足したい。ホールドを取り切るならTA Twinzer、トップでのリリースをもう少し軽くしたいならLovelace。どちらも、テールが絞られ、ロッカーの強いボードのために設計されたテンプレートだ。カナードはトータルで9〜10°に。ストレートなプラグなら9°のフィン、6°のプラグなら4°、9°のプラグなら0°だ。

ミッドレングス(7'0"以上)

現実的な選択肢は一つ、Lovelace FMだ。極小のカナードと大きなリアフィンは、長いボードならではの流体力学に合わせた比率になっている。ショートボード用のツインザーテンプレートをミッドレングスに無理やり載せると、カナードの影響が出過ぎて、トリムの間じゅうボードと喧嘩するはめになる。

まだ迷うなら

まずはMandalaから。このラインナップでもっとも汎用性の高いテンプレートで、ボードのシェイプも波のコンディションも一番広くカバーする。自分のボードのプラグでトータル9〜10°に収まるカナードと組ませ(「カナードとプラグの角度」を参照)、あれこれ考え直す前に、まずひと月乗り込んでほしい。Mandalaは乗り換えの起点としても一番楽だ。ホールドが足りなければTA Twinzerへ。もっとルースが良ければPavelへ。ツインザーというスペクトラムの中心にいるのが、Mandalaなのだ。